愛は最強
(オリジナル小説)
いずれの御時にか、女御・更衣あまた候らひけるなかに いとやんごとなき際にはあらねど(゚д゚)と(・∀・)がいました。
(゚д゚)と(・∀・)は、幼馴染にして恋人同士という神岸あかりと藤田浩之みたいな関係でしたが、(゚д゚)は悪魔主義者だったのに対し、(・∀・)はア・ラーを偏信するイスラム極右派だったので、2人の間には決して埋められないクレバスの様な深く冷たい溝がありました。
ある日、(゚д゚)と(・∀・)は、2ちゃんねるでデートしていました。
スレッドを立て、会話します。
この様な経緯で(゚д゚)と(・∀・)は人を殺しに行くことになりまして、翌日の早朝(゚д゚)と(・∀・)は、近所に住んでる(-_-)の家を強襲、殴る蹴るの暴行を加えてカヌーをゲットしました。
家のすぐ近くにある、濁りに濁ったガンジス河にカヌーをおろし、河下りです。
ついでに、簀巻きにした(-_-)も河に流し、どちらが先に海に着くか競争です。
左右の河辺には、沐浴する異教徒が沢山いたので、(・∀・)はカヌーを操縦しながら異教徒どもを短機関銃で次々と浄化していきました。
その間、(゚д゚)はシンナーを吸ってハァハァ言っていました。
(・∀・)は、人を殺しに来たんだからお前もやれと(゚д゚)に言いました。
(゚д゚)は悪魔主義者なので、殺すのは聖人じゃないと萌えないと言いました。
(・∀・)は贅沢言うなと言いました。
しつこいので(゚д゚)が放送禁止用語で罵倒すると、(・∀・)は大人しくなりました。
仕方ないので、(゚д゚)と(・∀・)は、聖人を求めて更に河を下って行きます。
一時間ほど河を下っても、(゚д゚)の望みを満たす聖人は一向に現れませんでした。
再び(・∀・)は、いい加減に諦めて河辺で沐浴する異教徒でも殺しとけと言いました。
(゚д゚)は首を吊りたくなるほど酷い言葉で罵倒しました。
余りの酷さに(・∀・)は鬱になって死にたくなりました。
でも、カヌーの上なので首を吊れません。
(・∀・)は首を吊る為に、カヌーを岸につけて陸にあがりました。
陸にあがると、(・∀・)は手近な樹に縄をかけ、野良牛を踏み台にして首を吊りました。
宙にぶら下がる(・∀・)の頭の中に、今までの人生のダイジェストが走馬灯の様に駆け抜けて行きました。
うっすらと目を開けると、霞み始めた視界の中に、母なるガンジスの流れをゴミと共に(-_-)が漂って行くのが見えました。
(-_-)が流されて流されて見えなくなって、再び目を閉じようとした時、ふと(゚д゚)の顔が見えました。
(゚д゚)は、岸辺で何かを見つめていました。
それは、死に掛け乾燥した小形の乞食僧でした。
地に仰向けになり、手を胸に組み、衰えた震える息で、真っ直ぐに死を待っているのです。
(゚д゚)の顔が、沖縄の太陽の様に輝きました。
(゚д゚)は、曲りなりともそれを聖人だと認めたのです。
(゚д゚)は猛禽の手つきで乞食僧の足首を掴むと、激しく空中に振り上げました。
乞食僧が弱った筋で微力に抗うのが、空中で振り回す度に、地面に叩き付ける度に、心地よい手応えになって伝わってきます。
それは、とてもとてもエポックメイキングな快感でした。
新しい強烈な快感に、(゚д゚)は打ち震えると思わずエポーーーーーーックと叫んでしまっていました。
そして、全てを忘れて、エポーーーーーーーック、エポーーーーーーーーーーックと叫びながら、乞食僧を振り回し続けました。
その様を、少し離れた場所から(・∀・)は静かに見つめていました。
(・∀・)は、首吊りを止めていました。
(゚д゚)の、あんなにも活き活きとした無邪気な子供の様な表情を見たのは初めてだったからです。
(・∀・)は、(゚д゚)の知らない一面を見た気分でした。
数分後、息絶えた乞食僧を地面にうち捨てると、(゚д゚)は大気を震わせ天に向かって大きく一度エポーーーーーーーーーーーーーーーーックと咆哮すると、新たな死に掛け老人を求めて河辺を駆け出しました。
(・∀・)は、その後ろを付いて行きます。
(・∀・)は、かつてないほど暖かい気持ちになっていました。
嬉々として河原を何処までも駆けて行く(゚д゚)を見ていると、(・∀・)は今まで殺意しか抱いた事の無かった(゚д゚)に対して、何か切なく火照った感情が零れ出して来るのを感じました。
それは、愛でした。
それは、(・∀・)が生まれて初めて、人を、愛おしいと感じた瞬間でした。
(゚д゚)は河辺に沿って行く先々で死に掛けた老人を心行くまで振り回しました。
(゚д゚)は、それが如何に快感であるかを、学校での出来事を保護者に話す子供の様に熱心に語り、(・∀・)は聖母の様に全てを聞き受けました。
お互い、こんなにも深く沢山話をしたのは初めてでした。
それは、愛でした。
(・∀・)は将来を思っていました。
これを娯楽として事業を立ち上げ、(゚д゚)と共に幾許かの生活費を稼ぎ、細々と生きて行く事も出来るのではないか、とさえ思い及びました。
それは、愛でした。
(゚д゚)と(・∀・)は、2日後に国連軍に射殺されるまで人生で最高の時間を過ごしたのでした。