死と流血のリアルハバネロ栽培記録





☆ハバネロ育成計画編 〜ハバネロウスプリティ〜



◆2005年1月末

 ロフトでハバネロ栽培キットなるものを発見。
 辛い物への耐性が比較的高く、東ハトの「暴君ハバネロ」も好きな私は 突き動かされる物を感じ購入。
 園芸(ナウく言うとガーデニング)には まるで興味が無かった私が、初めて自分で買った植物の種ですた。
 発売元は篠ファーム

 中身は、種5粒・肥育土の塊・受け皿・マニュアル・紙製立看板 のセット。
 まずは小さな肥育土で発芽させ、大きくなったら自前の鉢に植え替えるというセットですが、
 後に、暴君の絵入りの鉢が付属で、それで収穫まで育てられる別バージョンも見かけました。




◆2005年5月下旬

 マニュアルによると種の蒔き時なので、肥育土に種5粒を埋めました。
 この肥育土、最初は直径5cm、厚さ1.5cmくらいの円盤なんですが、
 水に漬けるとウニョウニョと縦方向に伸びて直径5cm程の丸い土の塊になります。
 種を入れる上部を除き、周りはネットで囲まれてるんで崩れません。




◆2005年6月下旬

 5つの内3つが発芽。
 小さくて瑞々しい色で可愛え……。
 植物を愛でる精神に欠けていた私が、初めて植物に情愛を感じた瞬間ですた。
 


 で、↑の写真をBBSにアップしたら、スさんから

 > 通常使われるべき鉢さえも省略した徹底的な合理化っぷりに、よもしらしさが顕われていると思います。

 という爽快感溢れる有り難い至言が。


 尚、ス氏は極めて高い辛さへの耐性を持っており、
 輸入品店でよく見かける、暴君より遥かに辛くて 暴君より遥かに不味い米国の激辛スナック「デスレイン」に対し、

 > やはり辛さのレベルは『お菓子』の域を全く出ていないと思うのです。

 との事であり、そのスコヴィル耐性は常人を遥かに上回ると思われます。

 そして、ス氏は以後、ハバネロと我々の運命を大きく左右する事となるのでした。
 そのスコヴィル耐性を見込んだ私が、

 > リアルハバネロが収穫できたら 被験者になって下され。

 と書くと、

 > 肉詰めにしてみませぬか?

 物凄いアイデアを賜りました。
 この思い付きが、4ヶ月後の大いなる惨禍の原点となる事を、その時は誰が想像できたでしょうか――。




◆2005年7月下旬

 3つ発芽したハバネロですが、1つは芽の先にかぶってた種の殻が取れずに枯れてしまいました。
 残り2つは順調に育ったので、プランターに移植して庭に移動。
 葉は凶悪な形とかしてなくて普通ですね。
 


 私は日本の唐辛子を育てた経験がないのですが、
 母によると「日本のより成長が遅い感じがする」との事。
 原産地メキシコより寒いから本来の成長速度が出ないのか、
 あるいは これが本来の成長速度なのか。




◆2005年8月下旬

 更に成長。
 何だか発育具合に随分差が出て来ました。
 小さい方は 何だか弱々しい……。
 狭くなってきたんで、小さい方を別の鉢に移植。
 


 手前の丸い鉢が小さい方。奥の長方形の鉢が大きい方。




◆2005年9月下旬

 花が咲き、実が出来てきました。
 花は、球体を6つに割った様な花びらが 慎ましく下を向いて咲く小さな白い花で、
 実の辛さを想像させない、意外な程 可憐な物でした。
 それはそうと、誰か これ見て ハ、ハバネロタンの花弁(´д`;;)ハァハァとか言って下さい。
 


 こっちは実。
 大きさは ほぼ完全ですが、緑色なんで小ぶりなピーマンにしか見えません。
 




◆2005年10月上旬

 販売されたハバネロの種の一部に、ハラペーニョが混入してたという ファンタスティックな騒動が。
 http://www.shinofarm.jp/menu2.htm

 大きい方についた実が熟してきました。
 これを見る限り、うちのは本物のハバネロの模様。
 


 小さい方は花も咲かず、枯れこそしませんが成長が止まってしまいました。
 原因は分かりません……。







☆最期の晩餐編



 そして、運命の日は訪れた――



◆2005年10月29日

 自宅にス氏・指宿氏・姐・主水氏・ポン氏・ゑみゅ氏・マーシー氏 を招き、
 ハバネロ試食オフを催しました。


 熟れて収穫時期になったハバネロ。
 黒いシワが寄り始めて乾燥が始まった物は、
 まだまだ最後まで残しておいて種取り用に。(←と思って12月中旬に採取したら中身カビてました(゚∀゚)
 


 日光の恩恵が実の成長に顕著に反映されます。
 陽の当らない側のは未だ緑色。
 


 赤い完熟物と、緑の未熟物を各1個採って、肉詰めて焼きます。
 形はピーマンそっくりですが、長さ3〜4cmくらいしかありません。
 

 それにしてもフライパン滅茶汚いですね。
 


 死を覚悟して食べる。(食いかけ写真)
 








































































































































































































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    ∧         ∧
    / ヽ        ./.∧   日本の土で育てたんで、本場メキシコのよりは辛くないんでしょうが、
  /   `、     /  ∧   それでも東鳩の「暴君ハバネロ」など足元にも及ばない辛さでした。
/       ̄ ̄ ̄    ヽ 
.l:::::::::              l  主水氏 : 案外平気
|::::::::::  -=・=-    -=・=- |  ス氏・蓬 : 辛(つら)い
|:::::::::::::::::   \___/    |  その他の面々 : 話にならない
.ヽ:::::::::::::::::::  \/     丿
 ヽ             ./  デスレインが平気なス氏・暴君水無しで食える蓬 にとってもかなりのものでした。
   ヽ      __ /   口に入れた瞬間は何ともありませんが、数秒後に点火し、
    ヽ    /        その後 10分以上に渡り 粘性の高い熱い溶岩が舌に貼りつきます。
     >  <         
     / \/\        主水氏と蓬の協議の結果、目安としては「coco壱のカレー10辛程度+」
    (  ○―○チリンチリン  という結論が出ました。
    =\\ー\        但し、各自一かじりしか食べてないので、それだけで10辛+に相当します。
 / ̄ヽ///ヽ ̄ヽ      仮にカレー1食分と同等容積(つまり数十個)のハバネロ肉詰めを食べたとしたら、
 |l(ニ |l .l/=  |ヽ ||      生きながらにして煉獄を見る事になるでしょう。
 .ゝ ノ` '     ゝ ノ




 辛(から)い を通り越し、痛みと灼熱が舌を這い回り、ス氏・蓬を含めた全員が悶絶する中、
 ダークホース主水氏のスコヴィル耐性は群を抜いておりました。
 蓬「か、辛くないの?」
 主水氏「辛いけど、何か気持ちよくない?」
 Ω ΩΩ < ナ、ナンダッテー







☆ハバネロ活用編



 結構収穫できたものの、尋常ではない辛さ故、正直どうやって使おうか困りました。
 幾通りかの調理法を試みたんで、他にも栽培した方がいたら参考にどうぞ。
 


 で、どうやら ハバネロの辛さは、失われやすい様です。
 いずれの実も、生の段階ではちゃんと辛かったのですが、
 調理・加工の過程で辛さが失われるケースが多々ありました。
 どうも、油と長時間触れると辛さが失われるような傾向がありますが、はっきりしません。
 (肉詰めは油をひかずに焼きました)
 原産地メキシコでは、どの程度の辛さにして食べてんのかしら。
 下に行くほど辛い食べ方です。



・野菜炒め (辛くない)
 最初から他の野菜と一緒に炒めたら、食べる時には全然辛くなくなってました。
 油に辛味成分が溶け出してしまったのでしょうか。
 でもその割には汁自体も辛くないので、辛味成分自体が分解してしまったと考える方が妥当でしょうか。


・焼きソバ (少し辛い)
 野菜炒めの結果を踏まえ、
 最初に他の野菜を炒め、次にハバネロ、最後に麺の順番で炒めました。
 野菜炒めよりは辛い焼きソバが出来ましたが、
 やはり生の段階よりも辛味は大幅に落ちていました。


・コンニャクの醤油煮 (辛い)
 煮汁・コンニャクには殆ど辛さが移らず。
 しかし汁の中のハバネロからは辛さが失われておらず、激しく辛い。


・カレー (結構辛い)
 完成したカレーに、食べる直前に、生ハバネロを微塵切りにして混ぜました。
 煮たり炒めたりする過程を経なかったからか、
 かなり辛さを保てました。


・ハバネロ醤油 及び 副産物の醤油漬け (結構辛い)
 ハバネロを微塵切りにして、醤油瓶に入れただけ。
 独特の風味と辛味があり美味ですが、1〜2日経過したら辛味が大幅に減退してしまいました。
 醤油自体は辛さが失われてしまいましたが、醤油さしが空になった後に残ったハバネロは美味でした。
 半月ほど醤油に漬かっていたので醤油が染みて赤黒くなっていましたが、
 ヘニョヘニョにならず、収穫直後と変わらぬパリパリのままでした。
 辛さは生状態よりは減退し、日本のスーパーで売ってるキムチの数倍〜10倍程度の辛さでしたが、
 激辛漬物として食べるには丁度良い程度。
 どうも、漬け込む日数で辛さが変化するような感じです。

 刻んで醤油に漬け込む。  (※奥のゴノレゴみたいなフレームのメガネは母の老眼鏡)
 

 半月程度かけて醤油は醤油として使う。
 

 醤油を使い終わったらハバネロを漬物として食べる。
 


・ピーマン風に肉詰め (煉獄級)
 油無しでフライパンで焼くと、激烈な辛さのまま食べられます。
 日本で普通に生活してる限り、生涯 遭遇できないレベルの辛さが体感できます。



 カレーと醤油漬けが ええ感じだったんで、
 この2種類の食べ方で消費していこうかと思います。



 
 で、ネットで調べると「ハバネロは素手で触ってはいけない」って何件も出てくるんですわね。
 ついつい油断して素手で収穫・種取り・切り捌きをしてしまったら、
 その時は何ともなかったのですが、
 数時間後、入浴して体が暖まった時に、指先に焼ける様な痛みが。
 更に、その指で眼を触ると しみる しみる。
 それまでに何度も手を洗ったのに、ハバネロの成分が皮膚に染み込んでた様です。
 寝ようとしても痛くて中々寝れない。
 成分を溶かしだそうとハンドクリーム塗っても効かない。
 翌日起きてもまだまだ痛い。
 丸1日経過した後でも、呪いの様にしつこく痛み続け、
 何度手を洗っても 皮膚に染み込んだ成分は中々抜けず 指を舐めると辛いんです。
 自分の指自体が辛いというのは、非常に倒錯的な感覚です。
 結局、完治に丸2日かかりました。
 メキシコ人は これを常食しているのか……。



 
 越冬の為に屋内に入れました。
 来年も収穫できるかの。