サクラ大戦

(サターン&ドリキャス  有名ギャルゲー)
(シナリオは あかほりさとる)
ネタバレ有りなので、そのつもりで読んで下され。
2に関してもネタバレっす。

 

 

 蓬が初めてやおいとギャルゲーと言う物に手を染めてしまったは高校時代だったのですが、それにしても高校入学当初から薄々予感していた「高校3年間恋愛の『れ』の字も無いまま終わる」という予想が現実になってしまうのはホント一瞬でしたよ皆さん気を付けましょうね。まったくもーこの年になりますと、ふと「彼氏彼女の事情」の音楽訊いたりして「あぁ、「あゝ、もう私、高校生じゃないのね……」団地妻の様な哀愁に見舞われてしまうってもんですが、これはそんな蓬が綴る、ギャルゲー初体験記です――。

 私、スーファミからプレステへ国民機の座がシフトする辺りの時期、殆どゲームやってなかったんですね。スーファミが終焉に向かいプレステとサターンが発売されたものの、当時の私には値段高いし何だか良く分からんし、その為プレステ・サターンの初期〜中期に掛けて蓬は殆どゲームやってませんでした。で、最初は互角だったPSとSSでしたが徐々にPSが優勢になり、SSには死の商人の様な世紀末の徒花ギャルゲーブームが特需景気の如く狂い咲き、それはそれはもう現実逃避と二次元ドリームに溢れ、死ぬまで笑いながら走り続けるマラソンみたいな状況でしたが、ブームが終焉してから年月が経過した現在になって中古ゲーム屋でバイト中に、エロゲーと見分けが付かない様なサターン末期ギャルゲーを大量に売りに来るお客さんがいて更にソフトが人間の脂でベトついてたりすると思わず涅槃が見えちゃいますが、それにしてもちょっとでも愛したんならギャルゲー売り払うなよおぉ。

 で、無性にサクラ大戦がやりたくなった或る年の夏に、それも夏コミの帰りにサターン本体を買った私ですが、お金が無くて本体しか買えませんでした。仕方ないので近所のゲーム屋で980円でナイツ(新品)を買って最初はそれだけやってました。その(少なくとも当時は)綺麗なポリゴンを見て「暫く見ない間にゲームは変わったなぁ」と思った蓬ですが、その後貯まったお金でようやくサクラ大戦を買ってみてその思いはより一層強まる事となります。

 パソコンみたいに画面上をカーソルを移動させて、任意の場所でボタンを押すと何か起こるんですね。例えばドアノブにカーソル合わせると カーソルがドアノブ捻る絵になったり、人の口に合わせると会話できたり。取説でそれが説明されてる部分を読んでると……

「通常カーソル 辺りに何もない場所で表示される」
「ノックカーソル ドアをノックする時に表示される」
「スケベ目カーソル おもに隊員の胸を見るときに表示される」

……んあ!? 何じゃこりゃあぁあ!! ギャルゲー初体験、ゲームから何年か遠ざかってた高校生の私の脳に、凄まじいインパクト&カルチャーショックが叩き込まれましたが因みにアイリス(10歳)だとスケベ目カーソルにはなりませんでしたよハイ。

 さくらの和服の質感とかがなんかツボだった私は、さくらのキャラクターに関しては物理的暴力及び殺傷行為でツッコミを入れる様な強烈なキャラを予想してたんですが、実際にやってみたら見事に期待を裏切って100%混じりっ気なしの超あかほりセンスでした。このゲーム、制限時間付きのリアルタイム選択肢により、会話やとっさの判断にリアリティーを持たせてるんですけど、さくらったら初対面の主人公君に「それより君の事が知りたいな」などと非常識な事を言われて何故か喜び好感度アップするのを皮切りに、同じく初めて会った日の内に「恋人はいるのかい?」セクハラ防止マニュアルに例として載ってそうな位ティピカルなセクハラ質問で好感度アップするわ、果てはゲーム後半で怪我して回復カプセルにお約束通り裸で入る際、復活後に皆の前で「裸で寒くなかった?」と人間失格発言を浴びせると「恥ずかしいじゃないですかぁ」とか喜んで更に好感度アップしやがりまして、これは男尊女卑の帝国憲法の下で姦通罪や貞操観念に縛られた太正女性の抑圧された性的欲求不満を特殊な形で描写しようと言う崇高な志があるのではなかろうかとは一瞬たりとも思いませんでしたが、このゲームに影響を受けて三次元でセクハラ起す輩が発生する事が無い様、全ての男性プレイヤーが三次元には手も足も出ない重度の二次コンである事を衷心より願って止まない蓬でした。

 そんな訳で心底「あ゛ー、ゲームって変わったなー」と思い知らされると共に流石にちょっと引いてしまった私はさくら攻略を放棄、初回プレイは 中国人・チャイナドレス・メガネ・三つ編み・大阪弁・ソバカス・メカマニア という、でじこなんか遥かにブッちぎってディープコア要素の塊な紅蘭を攻略。いやぁ、楽しゅう御座いました。それにしても、ゲーム終盤、落ち込んだ紅欄を主人公の大神一郎君が慰める場面にて、大神君が紅蘭を縦2画面分の大画像で後ろから抱きゃっとかやった時「うわわああぁっ」とかって思わずたじろいでしまい我ながら相当な小心者だとの自覚を更に深める事になりました。

 

☆注! ここから先、サクラ2のネタバレ有り!

 

 私、個人的に筋肉が好きなのですが、良い筋肉というものは中々見当たらず、今まで私を満足させた筋肉といえば超兄貴と映画版攻殻機動隊の草薙少佐ぐらいですホント。そんな習性の私ですが、サクラ大戦の筋肉姐さんカンナは何故かツボではなく、原因を自己分析してみた所、声がクリリンに聞こえてしまうというファクターも否めないのでしょうが、他に「胸がやたら大きい」「良く考えたら劇中で筋肉描写が全然無い」「一人称があたいだった」等々幾つかの原因が洗い出され、自己に対する洞察が深まると共に「萌え」というものが如何に微妙なバランスの上に成り立つ砂上の楼閣であるかが良く分かりとても勉強になった気がしました。

 で、それから暫くして『サクラ大戦2』が発売されましたが、何と追加キャラは謎のエスニック姉ちゃんと銀髪の美少年レニじゃあ〜りませんか! 遂にあかほりもショタとやおいに進出するものと思ってぬか喜びしたのも束の間、レニは実は女であるという設定でして、多くの漢達は喜んだそうですが堂々とホモ路線にした方が顧客は広がったと私は強く確信します。

 そんなこんなで1はクリアしたものの、2は買っただけで暇が無かったりして殆どやってません。何時かはやろうと思ってますが。因みに2は1の1年後が舞台で、大神隊長が海軍演習から1年振りに戻って来る時点から始まりましてスケベ目カーソルは2でも健在、呆れつつも取り敢えず1年振りに再開したさくらの胸を見てみると大神君物凄く切なそうな表情で「さくら君、胸は大きくなったのかな……」などと独り言を呟きやがり、何とも言えない脱力感に襲われ世紀末の退廃と耽美、文明の爛熟と滅び行く様を垣間見た気がしました。

 

 ついでに言いますとこのギャルゲーの珍しい点として、主人公君が前髪おっ立てたナイスガイであると言う点があります。大抵のギャルゲーやギャルアニメって、オタク青年の心理的「同一化」を促す為なのか、主人公君は地味で平凡で肉体的にも決して強くない青年って設定が多いものでしてエロパソゲだと前髪で目が徹頭徹尾隠れてたりしますが、最近ではラブひなの浦島君なんかメガネでイラスト描きが趣味であたりモロにオタっぽくて非常に微笑ましいものがありますけど、オタク男性像の双璧として「貧弱」と共に「肥満」と言うモデルも御座いますので、そろそろ飯野賢治みたいな脂身お兄さんが主人公のギャルゲーが出ないかしら?