せっかくだから火星物語

(プレステ・全自動RPG)

 

 

 世間から大幅に送れて念願のプレステ本体を買った私ですが、既に「攻殻機動隊」「serial experiments lain」「火星物語」のソフト3本を受験中から買って置いてあり、取り敢えず「火星物語」から手を付けました。

 (高校の)文学部誌の印刷で学校に行った帰りにさくらやに寄って、2980円まで値崩れした定価約1万円の火星物語限定版を買ったのですが何故か通常版は殆ど定価のままなのは「付録は邪魔になるから要らん」と皆さん通常版ばっか買ってるからなのかしらと思いつつ帰って開けてみると「フィギュア5体」「フィギュアを配置するちゃちい紙のジオラマ」「コロコロスタンプ」「犬顔の名刺入れ」「黒パンツ柄バンダナ」「クエスが付けてるピアス」の10大限定版付録が入ってるのですが、ピアスは見た目とコスト優先で安い卑金属で作りおったのか「付けると金属アレルギーになるので付けないで下さい」などと自己の存在意義を根底から覆す事が書いてあり、やぱし付録は邪魔になるだけかも知れませぬ。

 電源を入れるといきなし横山智佐の歌声で「こ〜こ〜ろ〜の〜 つばさをときは〜なち〜」と豪華なBGMを伴ったオープニングが始まり、否が応にも火星気分を盛り上げてくれます。このRPGの原作である文化放送深夜ラジオドラマは声を横山智佐・千葉繁・豊口めぐみ・広井王子の4人で全ての役を掛け持ちすると言う無茶な作りながらも、もう第8シリーズ位まで出てるのですが、ゲームも原作同様にメインの声は横山・千葉・豊口が掛け持ちし広井はナレーター。その他の役は普通に何人かの声優を使ってますが何故あかほりさとるや大槻ケンヂが出てるのかしらね?

 恐ろしい事にこのゲーム、「マップ移動」と「ランダム発生戦闘」が有りません。マップ移動が無いと言うのは「SFC版スレイヤーズ」と言えば分かる人には分かるでしょうが、一応行き先を選べる「スレイヤーズ」と違って、火星は目的地を選べません。ある場所(町や洞窟)で目的を果たすと外に出れる様になり、出るとストーリー進行に合わせて勝手に次の場所に進み、戦闘もそれに合わせてあらかじめ設定されている場所で決まった敵が出て決まったお金と経験値が貰えるので、レベル上げや銭稼ぎの必要すら無いと言う、キャラとストーリーに集中させる為に他の部分を徹底的に簡略化した、一歩間違えばクソゲー街道まっしぐらな作りですが、ストーリーは一見おちゃらけそうでも実は壮大で良く出来てるので結構成功しています。平面アナログフィールド上で行われる戦闘システムは、周りに有る物や仲間を敵に投げ付けられたり敵を追い回したりと中々独特かつ秀逸で、発生もランダムでは無くあらかじめ設定された時と場所でストーリー的必然性を持って起こるので一つ一つの戦闘に重みが感じられます。楽しいのですが時間が掛かるので飽きさせ無い様にランダム戦闘をカットしたのはやはし正解でしょう。

 ゲームは全編に渡りフルポリゴン。現段階では未だ、人物をポリゴンにしちゃうとどうしても違和感が出てしまうものですが、自称「ポリゴン人形劇」な火星物語はキャラが3頭身なので違和感も無く、更に表情豊か、ラヴリーでほのぼのした絵柄です。主人公は(ちょっとショタっぽい)12歳の男の子で他の仲間も同年齢位の可愛い少年少女や動物人間でなので母上は「大学生がやるものに見え無い」と言っておりましたがそれはこちら側の世界を知らない素人考え。千葉繁の超ダイナミック下ネタギャグや少年入浴シーンが連発される点から、決して子供向けで無い事は火を見るより明らかです。主人公が過去の世界から(ボソンジャンプ風に)戻って来たら仲間の少女の着替え中の所に出くわしてしまうなんてのも有りますがその時は小学生の夏休みの工作の如く粗いポリゴンで、エロでは無くギャグとして作られた事が分かりますが、問題は少年入浴シーン。普通、こういうのってお湯が濁ってたりするもんですがこのゲームではキッチリと透明でお湯の下の体も妙に丁寧に描き込まれており制作サイドが一体何を狙ったのか如実に推測出来、これで萌え萌えになったお姉ちゃんが一体何人居るのか調べたら文化人類学上極めて価値の高い論文が書けそうな気がしました。

 そんなこんなで全自動ストーリー進行で風呂屋に行く度に男湯内部が描写され画面からは可愛さとほのぼの感と結構壮大なストーリーとが放射能の様に伝わって来るこのゲーム、1話当たり約1時間掛かる全30話を、只ひたすらストーリーをなぞって行く「ゲーム」と言うより「読書」に近い作品なので、余りの難しさに悶えるのが快感なハードゲーマーには全く薦められませんが、キャラとストーリーと世界観はホント良く出来ており「可愛いキャラが好き」「横山智佐が好き」「千葉繁が好き」「原作が好き」「ショタ」「ポリゴンフェチ」な方の琴線に触れてなお余るものが有りますので興味を持ったら買ってみなさい。

 因みにキャラデザは「水玉螢之丞」と言う人で新聞や雑誌にイラストコラムを連載してるので知ってる人も多いでしょうが、この人数年前(1995年頃)に朝日新聞の埼玉版に「埼玉の恋」と言う月1回の恋愛コラムを連載してたのですが、とある夏に「夏コミでの恋」みたいなお便りを載せてしまって以来、新聞記事とは思えない程にヲタク成分含有率が爆発的に跳ね上がり遂に「今月は恋愛関連のお便りが1通も来ませんでたので特集『インサイダー水玉が語る、何故オタクは嫌われるか』にします」なんて事態に陥り翌月にあっさり連載打切、「お手紙待ってます。エヴァンゲリオン最終回の感想とかね……くすっと救い様の無い最期の一言を吐いて散って行ったと言う途轍も無い過去が存在していました。私、この人の絵は別に大好きって訳じゃありませんが、文と人柄は結構好きです。自分の事を「オレ」と呼ぶ女性を見たのはこの人が最初でしたが、その後私の友好関係のシフトにより今では同様の方を次元の二三を問わず相当数知ってますが彼女等はとても精力的で人間として尊敬出来ますマジで。